林業部 – 林業の過去〜現状
山の価値は先代の思いや長年の苦労が実ることなく下がっていく
収穫期を過ぎ、やがて必要以上に成長した木々は、大きすぎる為にあまり用途が無く、また製材機が使えないといった不便も多いため、木材単価はさらに下がってしまいます。
単価の下落に加え、中には、松くい虫、ナラ枯れなどの被害にあってしまい、どんどん枯れていく山もあります。
収穫までの50〜60年という長い年月、そして手塩にかけて育ててきた先代達の苦労が実ることなく、立派に育った木の価値がどんどん下がり、そして枯れていってしまっているのです。
ですが、人手不足、木材単価の下落で、出せば逆に赤字になってしまう現状もあり、分かっていても、指をくわえて見ている事しかできないのです。
さらに山に収益が生まれなければ、当然受け継いでいく人もいなくなり、山の維持管理をする事も難しくなっていきます。
そして管理の行き届かない荒廃林がどんどん増えて行くことになります。
間伐などの管理が行き届かず、光が入らなくなった森では、下草が育たず、土壌侵食がされやすくなります。それが土砂災害の原因になるなど、山としての機能を維持する事さえできなくなります。
そんな今だからこそ「伐採と搬出」に焦点を
これでは今まで日本の山と景観、生活環境を守り、私たちの世代につなげてくれた先代に対して、「あまりにも申し訳ない」と、そう思ったのです。
だからこそ、スピードを上げて伐採・搬出する事こそが重要だと考え、そこに焦点を当てているのです。
とはいえ、材価が安ければ、根本的な問題解決にはなりません。
しかし今、安いと言われているこの木材単価と同じ、あるいはそれよりも低い単価でしっかりと利益を上げているところもあるのです。
それがオーストリアです。
日本では上がらない利益 しかしオーストラリアでは
オーストリアは日本と同じで急斜面の山岳地帯が多く、何かと日本と比較されることも 多いのですが、木材の立米単価は日本とほぼ変わらないのに、利益が2倍以上もあるのです。
違いを生んでいる理由の一つは伐採搬出にかかるコストです。 オーストリアでは最新鋭の重機を使用すること、そして搬出にかかる作業道がしっかりと整備されていることで伐採搬出が効率的に行われ、伐採搬出にかかるコストが日本の6割程度ですんでしまうのです。
さらに、日本の場合は、オーストリアに比べて運送や流通にかかるコストも大幅に多く、利益を圧迫してしまっているのです。
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