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Story1 「木挽き」の果たす役割とは

もう一人の棟梁 「木挽き」

かつて、家を建てる人は、まず材木屋へ行きました。 どんな木材をどのように使ったらいいのか?材木屋でその相談相手になっていたのが木を挽く職人、「木挽き」でした。

柱、化粧材、棟木、板材など、家を構成する木材に何を使用したらいいのか、間取りに対してどおくらいの木材が必要か、予算に合わせてどのぐらいのレベルの材が使えるかなど・・・。
木挽きの木を見る技術と専門知識は、家の間取りから木材選びに至るまで広く関わるものでした。

そして実際に その通りに木を準備し、挽いて大工さんに渡していました。
木に番号を振って、「この木はここに、」これはこういうふうに使ってくれ」というように 細かく指示を出していました。

木挽きは、木一本一本の個性を家にどうやって生かすか?といった知識と技術の高さから、大工の棟梁と並び「もう一人の棟梁」と呼ばれていました。実際、昔の家には棟木(棟の先端部分)にその家を建てた大工の棟梁と、家の木材を挽いた木挽棟梁の名前が記されています。

ただ製材するなら誰だってできる。でも・・・

ただ製材するだけなら製材機に入れれば誰だってできる
だけど、木を「見る」のは、知識と技術を磨き、経験を積んだ職人「木挽き」にしかできない。

木の杢目(もくめ)や色合いといった美しさを最大限に表現するために木取りをしたり、木の本来の姿を活かしたり、どの部分にどの木材がどのように使われるべきなのかを見定めるのは木挽きだからこそできる業だ


と、「木挽き」の凄さとその重要性について教わったのです。

正直、勤めて最初の頃は、「製材なんて裏方の仕事じゃないか」
そう思っていました。実際、大工さんのような華々しさもありませんし、 施主さんから感謝されるなんて事はほとんどない・・・。ただ黙々と木を製材するだけ・・・・

「この仕事にやりがいなんて、一体どこにあるんだろうか」と。
日の目を見ないこの仕事にウンザリする事もありました。

しかし経験を積む中で、そんな自分の考えの浅はかさを痛感し、 恥ずかしくなるとともに、木挽きに対して大きな尊敬の念を抱くようになりました。

いくら最高の料理人がいても、食材がダメでは、素晴らしい料理は完成しないように、
木挽きがいないと、良い木材を提供する事はできないし、
大工さんにも最高の仕事をしてもらう事ができない。
大工と木挽きが協力するからこそ、本物の木の家が建てられる。
木挽きは、影のもう一人の棟梁なんだと、その責任は重大なんだと。

そう意識が変わり、
大工さんに最高の木を提供し、最高の仕事をしてもらえるような素晴らしい木挽きになりたいと考え、今まで邁進してきました。

消えていく、もう一人の棟梁

ところがそんな「木を見る」知識や技術は、今やどんどん失われています。

木材の輸入自由化によって、外国から安定した品質とロット、そして単価の安い木材が入ってくるようになり、業界に変革が起き始めました。

その結果求められたのは、木のクセや個性、美しさを活かすといった技術ではなく、安定した品質と規格のものを安価に生産する事でした。

それにより、大型の木材供給センターが出現し、効率、スピード、ロットを重視した生産がおこなわれるようになりました。当然、我々のような小さな製材所は価格では到底太刀打ちできるわけもなく、小さな製材所はどんどん廃業に追い込まれました。

また、プレカット技術の普及により、どこにどんな木材を利用するかなどを大工さんと 相談しながら家をつくるという事もほとんどなくなってしまい、
今や大工と木材は棟上げに初めて顔合わせするというのが普通です。

木材をひとくくりに「材料」として加工するので、木一本それぞれの個性を活かすという考えはほとんどなくなってしまいました。

今の家は本物の木の家なのか?

どんな施主さんが建てるのか、またどんな職人がつくるのかも、分からないまま、 発注に対して、ただその指示通りに製材して納品する、そんな状況になってしまいました。

ですが、それで本当に木の良さを引き出した本物の木の家と言えるのでしょうか?
工務店が抱えている優秀な大工の腕が余すことなく発揮される家になるのだろうか?
本当に施主に、「最高の仕事ができた」そう胸を張ってお引渡しできる家になるのでしょうか?

もちろん、現実的にはコストや納期があるため、プレカットに頼らざるを得ない点はあるでしょう。

しかし、大量生産、プレカット、そのような建物が主流になっている今だからこそ、 本物の木の家の凄さが伝わるのではないか?そう思ったのです。
そして木の良さを最大限に表現するため、木挽きの知識は今だからこそ必要不可欠ではないのか?と。

かつてそうだったように、 木挽きという、もう一人の棟梁が頑張らなければ、そして適材適所に素晴らしい木材を提供できなければ、せっかくの大工の腕を最大限に生かす事ができないのではないか?

そう考えたのです。

だからこそ、今日あなたに向けてこのメッセージを送らせて頂きました。

先輩方から教わり、今まで磨いて生きた知識と経験を本物の木の家作りに生かしたいとの 思いからです。

もしあなたが、 最高の木を使いたい、木材の魅力を余す事なく引き出したいと思うなら、 そして現在のお客さんのニーズや時代の流れを踏まえつつも、自然の風合いを生かした、他にはできない家作りをしたいなら。
そう思っているのであるならば、私達の木材、サービスはきっとあなたの為にあるものだと言えます。

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